オーロラの歌
仲間の印
翌日の天気は、旅をしてきた中で一番最悪なもので。
昼間だというのに辺りは陰っていて、槍のような雨が降り注いでいた。
「ウメおばあちゃん」
「はい、なんでしょう」
昼食を食べ終えて、食器を片付けようとしたウメおばあちゃんを呼び止める。
ラジとシエルには、朝方に今日これからのことを話した。
もちろん二人は同意してくれて。
体調も体力もばっちりで、準備万端。
あとは、ウメおばあちゃんに頼むのみ。
「私達を、セイント城に連れて行ってもらえませんか?」
一度国全体を見た私は、今度は鷹になれるウメおばあちゃんの背中に乗って、女王様達の元に行きたいんだ。
今こうしている間にも、苦しんでいる人がいる。
仲間が、家族が、女王様に物のように扱われている。
だから、一刻も早く、女王様達に会いに行って、皆を助けたい。
そして、今度こそ、全てを終わらせ、全てを守る。
正直、絶対救えると言い切れるような作戦はない。
ぶっつけ本番で、生と死の境目に乗り込む。
怖いし、不安だし、逃げたい気持ちがないと言ったら嘘になる。
でも、女王様の心の闇を取り除けるのは、いやしの歌しかないと思うんだ。
味方にも敵にも、届けたい。
ありったけの、愛と幸せを。
「……わかりました。オーロラ様の頼みとあらば、喜んで」
「ありがとうございます、ウメおばあちゃん」