オーロラの歌
笑顔で引き受けてくれたウメおばあちゃんと共に家を出ると、ウメおばあちゃんは巨大な鷹に豹変した。
グリンみたいに爪が伸びるとか、牙が尖るとか、そういうレベルじゃない。
ウメおばあちゃんは、本物の鷹になった。
人間だった面影はどこにもなく、大きな体に似合う綺麗な翼と、迫力のある瞳が、私達を圧倒する。
す、すごい……!
獣族の長の、比べ物にならないほど強い力があれば、こんなこともできちゃうんだ。
「どうぞ、お乗りください」
敬語を喋る鷹、という希少な姿に違和感を覚えつつ、私達はウメおばあちゃんの背中にまたがる。
「しっかり掴まっていてくださいね」
そう忠告をしたウメおばあちゃんに、私達は「わかりました」と口を揃えて返事をした。
ウメおばあちゃんの翼が、鋭い雨を吹き飛ばす勢いで、ゆっくりと宙を仰ぐ。
それを数回繰り返してから、私達を乗せたウメおばあちゃんが風を切りながら、天高く舞い上がった。
あっという間にフロンティア・シティを過ぎて、下を見下ろせば、アストラル・グラウンドとクリスタル・タウンがあった。
至極速いスピードで飛んでいるからか、痛々しい風と鋭い雨粒が、私達と衝突する。
「なあ、オーロラ」
「なに?シエル」
「お前は、いやしの歌に専念しろ」
「え……?」
闘い中はいやしの歌だけに、集中していろってこと?