オーロラの歌




偶然なのか、はたまた神様が仕向けたのか、ザアザアと降りしきる豪雨。


それを真正面から受け止めながら、一時間も経たずにセイント城にたどり着いた。


ウメおばあちゃんが翼を器用に使って、城の屋上に着地する。



「どうか、お達者で」



ウメおばあちゃんのつぶらな瞳には、切なさが滲んでいた。


そんな、空のように暗くならないでください、ウメおばあちゃん。



「ここまで連れてきてくれて、ありがとうございました」



私は、ウメおばあちゃんをギュゥ、ときつく抱きしめた。



ウメおばあちゃん、ごめんなさい。


また会えますから、と約束を交わして、ウメおばあちゃんの心配を少しでも減らしたいけど、できないんです。


これからどうなるのか、私にはわからない。


運命が、悪い方向に進んでしまうかもしれない。


だから、分け与えた私の温もりだけで、どうか安心してください。



「行ってきます」



ただいま、と言えたらいいな。


あぁ、雨が降っていてよかった。


こぼれてしまった涙を、ごまかせるから。



< 478 / 888 >

この作品をシェア

pagetop