オーロラの歌
偶然なのか、はたまた神様が仕向けたのか、ザアザアと降りしきる豪雨。
それを真正面から受け止めながら、一時間も経たずにセイント城にたどり着いた。
ウメおばあちゃんが翼を器用に使って、城の屋上に着地する。
「どうか、お達者で」
ウメおばあちゃんのつぶらな瞳には、切なさが滲んでいた。
そんな、空のように暗くならないでください、ウメおばあちゃん。
「ここまで連れてきてくれて、ありがとうございました」
私は、ウメおばあちゃんをギュゥ、ときつく抱きしめた。
ウメおばあちゃん、ごめんなさい。
また会えますから、と約束を交わして、ウメおばあちゃんの心配を少しでも減らしたいけど、できないんです。
これからどうなるのか、私にはわからない。
運命が、悪い方向に進んでしまうかもしれない。
だから、分け与えた私の温もりだけで、どうか安心してください。
「行ってきます」
ただいま、と言えたらいいな。
あぁ、雨が降っていてよかった。
こぼれてしまった涙を、ごまかせるから。