オーロラの歌



私はウメおばあちゃんに笑顔を向けてから、ラジとシエルと共に城の中に入っていった。


ウメおばあちゃんは、私達の背中が見えなくなるまで、願いを捧げるように見守り続けていた。



「行ってらっしゃいませ、オーロラ様」






雨音が遠ざかった城の中は、ひどく静かだった。


見取り図を知らないから、城の入り組んだ構造に迷ってしまいそうになる。


あ、そういえば。


ラジとシエルは、昨日パーティーの途中で、大広間にやって来たんだっけ。


二人なら、私より城の見取り図を覚えているかも。



「ねぇ、ラジ、シエル。昨日は、どうやってパーティー会場まで行ったの?」


「まず城の門番を倒して、玄関から城内に入ったんだ」


「それで、玄関入ってすぐのところにあった、でかい扉を蹴り破ったら、オーロラがいたんだよ」



……見取り図は、わからないってことか。


まあ、そうだよね。


うーん、どうしたら女王様達のいる場所に行けるんだろう。



悶々と考えていると、背後から足音が聞こえてきた。



「や、やべぇ、人が来るぞ!」


「とりあえず隠れよう」



私達は、すぐさま曲がり角の影に身を潜めた。


私はそこから顔を出して、足音を立てている人物を盗み見てみる。


視界に映ったのは、私達のいる方向ではないどこかへ、料理を乗せた台車を運んでいる、三人のメイドだった。


あれって、昨日私をドレスアップさせたメイド達……?



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