オーロラの歌




「反撃?……ははっ、おかしなこと言わないで」


「なにを笑ってるんだ」



女王様の態度にムカついたシエルが、顔を険しくする。



「グリンがあんた達の元へ戻ろうと、痛くも痒くもないのよ」


「そんなこと、やってみなくちゃわからないじゃないですか!」



私がそう反論すると、女王様は私達を見下しながら口角を上げた。


女王様の禍々しい殺気が、グサグサと刺さる。



「わかるわよ。あなた達が何をしようとあたしの闇は消えはしないし、オーロラは殺される運命なのだから」



女王様は黙り込んだ私に、勝ち誇った表情を向ける。


何も、言い返せなかった。


女王様の心にちょっとでも影響を及ぼすことすらできていない現時点では、女王様の方が正論に近い。


でも、だからって、また逃げるのは嫌だ。


今度こそ逃げない、と誓ったんだ。



すると、ゼロさんのムチが蛇のように撓【シナ】って、私の右腕に巻き付いた。


しまった……!


このムチは鋼鉄で作られているみたいに、振りほどこうとしても、びくともしない。


だったら、ムチに気を取られてしまうより、歌を歌って洗脳を解くほうがいい。



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