オーロラの歌
私がすぅ、と息を吸い込むと、女王様は背中に隠していたナイフを見せつけた。
あれは、昨日私を処刑するために使おうとした、豪華な装飾がされてあるナイフだ。
またしても、あの刃の大きなナイフで、私を仕留めようとしているの?
「あたしね、なぜか殺したい人を連想すると、百発百中なの」
女王様は、ナイフの刃をペロリと舐めた。
百発百中?
それって、つまり、そのナイフを私に飛ばすってこと?
歌いたいのに、歌わなきゃいけないのに、恐怖で顎が震えて声が出ない。
私の右腕を掴む、ムチの力がきつくなる。
怯えちゃダメだ。
落ち着け。
私は再び、大きく息を吸い込んだ。
ゼロさんに、女王様に、私の想いが伝わるように。
この国を救えるように。
「♪~~甘さが欠けてる未来の 続きに溺れたとしても~~♪」
私が歌い出してから、女王様は持っているナイフの先端で私の首の真ん中を狙って、ダーツの矢を投げるように、ナイフを放った。
「死ね、オーロラ」
ナイフが、着実に私との距離を縮めていく。
スローモーションのように感じるのは、なぜだろう。
歌っているはずなのに、雨音だってうっすらと響いていたはずなのに、なんの音も聞こえなくなって。
ただ、ナイフだけが見えていた。