オーロラの歌
シエルの苦しげな顔に、私の涙がポタリと落ちる。
「泣いてる暇はないぞ」
シエルが一番痛い思いをしてるのに、シエルは指で私の涙を拭ってくれた。
死なないで、逝かないで。
ずっとそばにいて。
そう、言えなかった。
私の覚悟が、お前だけは言ってはいけない、と戒めていた。
シエルの身体が、薄れていく。
嫌、待って、お願い。
離れていかないように、シエルの手をギュッと強く握った。
「……シエル!」
まだ間に合う。
歌おう。
「♪~~もしも笑えなくな」
「あとは頼んだからな」
歌を遮って、シエルは私に運命を託した。
涙でボヤけてよく見えなかったけれど、シエルは確かに笑っていた。
なんでいつも無愛想なくせに、こんな時だけ笑うの。
これが最期なの?
だから、笑うの?