オーロラの歌
少し先で待っていてくれていたラジとグリンに駆け寄る。
瞬間、ザア……!とカサついた風が吹いた。
その風は、木々も花も髪も揺らして、私の横を通り過ぎていく。
『俺はいつも、お前のそばにいる』
不意に、シエルの言葉を思い出した。
どこからか、シエルの気配を感じて、空を見上げる。
「どうかしたか?」
「ううん、なんにもない。大丈夫!」
心配そうに見つめるラジに、私は乾いた笑顔を顔に貼り付ける。
まさか、ね。
シエルまで、私の旅に付いてくるわけないか。
「レッツゴー!!」
グリンの陽気な掛け声に合わせて、私達は一歩踏み出した。