オーロラの歌



どうして、届かないんだ。


どうして、消えてしまったんだ。


実体化できていたら、オーロラは……。



「ヘウ゛ン・プルガシオン!!」



すると、ラジが唱えた呪文によって、部屋全体が白い光に包まれた。


まさか、ラジのやつ、自分の体力を使い果たしてでも、光の魔法で邪気を飲み込もうとしているのか……!?


そんなの無茶だ。


女王がかけた魔法がどんなものなのかもわかっていない。


賭けに出た、ということか?


それとも俺と同じで、ただただオーロラを守りたくて、長い時間魔法を使おうとしているのか?



「そんなちゃちな魔法じゃ、オーロラを悪夢から目覚めさせるのは不可能よ」



女王は腕を組んで、勝利を掴んだとでも言うように、偉そうに蔑む。



『ハルシオンをしてできる魔法は、全部で四つ。その内の二つは、直接命を狙うものではなく、魔法をかけた相手を闇に葬り地獄に堕とすような、悪の魔法です』



ウメばあさんの説明を、思い出す。


さっきのウィケッド・ナイトメアという魔法は、悪夢を見せるものだったのか。


ということは、女王はオーロラに悪夢を見せながら、オーロラの命を闇に吸い取らせて殺そうとしているってことか……?



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