オーロラの歌
女王の原動力である憎しみという悲しき感情に、吐き気がする。
ラジは、どれだけ女王に貶されても、魔法を使うのをやめたりしなかった。
グリンはゼロのムチを押さえつけ、ゼロにラジを邪魔させないようにしている。
俺はもう、願うことしかできないが。
どうか、お願いだ。
神様の存在を信じてやる。
俺が不幸になっても構わない。
多くは望まない。
だから、オーロラを幸せにしてくれ。
真っ白に染まる雪のような光が、はらりはらりと舞う。
その光はなんだか切なくて。
悪夢を見ているオーロラを導こうと、懸命に輝いていた。
「さあ、オーロラよ」
女王の幸福に彩られた甲高い声が、反響する。
「残酷に死んでいけ」
それでも俺は、ラジは、グリンは、
愛するオーロラの目覚めを待っていた。