オーロラの歌
咄嗟に動かした足で、とにかく走った。
走って、走って、走って。
息苦しくて、足がボロボロになって、もう動けないと思いそうになっても、走った。
こんなところにいたくなくて。
前に何があるのか考えられる余裕もなくて。
暗闇の中を、無我夢中になって走った。
どれだけ走っても、どのくらい走ったのか忘れてしまうくらい、同じ風景で。
広がるのは、闇ばかり。
なに、ここ……。
周りを見渡しても、ここから出られる場所はなかった。
『助けて』
走っても意味がないのなら、出口がないのなら、走らなくても同じだ。
私は膝を抱えて、俯いた。
怖くて、冷たくて。
もういっそ、死んでしまいたくて。
『……お母さん』
気がついたら、無意識にそう呟いていた。