オーロラの歌



ズキズキ痛む心臓に、手を当てる。


重たい身体が、温もりを欲していた。


締め付けられたような喉で、必死に呼吸をする。



『も、し……も』



自分を抱きしめながら、恐怖心をなくそうと歌を口ずさんだ。



『笑えな、く、なって』



震える膝に、顔をうずめる。


途切れ途切れな歌声は、涙色に彩られていた。



『き、みが苦……しいと、叫んだ、ら』



歌うと、不思議と楽になれた。


震えが、落ち着いていく。



『星達と、共にう、たを』



視界の端に、瑞々しい光が見えた。


ハッとして、立ち上がる。



『紡ぐよ』



ワンフレーズを歌い終えたら、一点の光が差し込んで。


天使の羽を生やしたお母さんが、宙に浮かんでいた。


お母さんは私に手を差し伸べて、口を開いた。




『♪~~どうか神様お願いです 輝きを纏う幸せを君へ~~♪』




< 507 / 888 >

この作品をシェア

pagetop