オーロラの歌
奇跡が起こったの?
それなら、この千載一遇のチャンスを逃さずに歌わなきゃ。
君の笑顔が見たいんだ、そう続けようとしたら。
グワングワン、と脳がぐらついて。
見えていた世界が、急にボヤけだして。
そうか、と理解した。
奇跡なんかじゃなかった。
綺麗に歌えたのは、寿命がもうすぐ尽きてしまうという警告だったんだ。
いや、そんなかわいいものじゃない。
警告ではなく、私をあの世へと連れて行くという通達だ。
「♪~~き……みの、」
ほら、通達をし終えたら、このありさまだよ。
座ることも困難になり、ラジとグリンに抱きとめられている状態になる。
倒れた私を見た女王様が、これは好機だ、と言わんばかりに笑みを浮かべた。
「♪~~え、がおが、っ」
ワンフレーズも歌えない。
想いは溢れかえっているのに。
私が未熟で愚かだから、タイムリミットが早々に来てしまったの?