オーロラの歌
それは、新たな物語のプロローグ
――ピピピピピッ!
けたたましい目覚まし音と、窓から差し込む朝日で、意識が浮上した。
重い瞼を持ち上げる。
「ん……」
眠気が際立つ、月曜日の朝。
欠伸をひとつしてから、ひんやりと冷たい床に足をつけた。
「ふはぁ……。支度しなくちゃ」
やる気を起こすように呟いて、急いで学校へ行く準備を始める。
支度の最後に、ブレザー型の制服を着る。
何度見てもデザインが天才的に可愛い。これが受験した理由の一つである。
鏡越しに可愛さを確かめつつカバンを持ち、自分の部屋を出た。
リビングに行くと、既に家族が朝食を食べていた。
シャイなお父さん。
しっかりもののお母さん。
大学二年生のお兄ちゃん。
そして、二週間前に高校二年生になった、私・小倉 琉美の四人家族だ。
椅子に座って、私も遅れて朝食を取る。
「いいか、琉美。知らない人にはついていくなよ?」
「はいはい」
「もし危ない目に遭ったら、すぐに連絡しろよ?」
「わかってるって」
毎朝こうやって、お兄ちゃんは過保護に言ってくる。
まったく、私をいくつだと思ってるんだか。
お兄ちゃんのシスコンっぷりに呆れちゃうよ。