オーロラの歌



グリンのふわふわな髪が、まるで綺麗に整えられた毛並みに見えて。


グリンの片耳に付いている二つのピアスが、ギラリと光った時。


私は確かに、グリンの中に眠っていた獣としての顔を、はっきりと捉えた。




「僕、こう見えても、狼男なんだよねぇ」




長い前髪をサラリと揺らしながら、口角を上げたグリンに、私はただただ目を輝かせた。


すごい、すごい、すごい……!


今のグリンみたいな人達のことを、獣族っていうんだ!


世の中には、私の知らないことがたくさんあるんだなぁ。



「あ、この爪には注意してね。毒あるから」


「わ、わかった!」



瞬時に元の姿に戻ったグリンは、「そういえば、説明の途中だったね~」と呟き、説明を再開した。



エストレア・シティとアストラル・グラウンドに隣接しているのは、セイント城を囲んでいるような、半ドーナツ型の街。


その街の名は、“クリスタル・タウン”。


貴族や大富豪など、位の高い者が住んでいる街。



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