オーロラの歌
「最後は、ここ」
グリンは近くに落ちていた木の枝で、地面に描いた地図の真ん中を示した。
この国の、やや上。その真ん中にそびえ立っているのは、大理石でできたセイント城。
そこに、ルシフェル王国を統べる女王様がいる。
「こんな感じかな~」
「教えてくれてありがとう」
「いーえ」
私はまだ、この国のことをほとんど知らない。
なぜこの国が私を殺そうとするのかも、どこへ逃げれば安全なのかも、わからない。
だけど、真っ直ぐ進んでみよう。
わからないことが、わかるまで。
今はまだ、ゴールと呼べる場所がなくても。
それしか、私にはできないから。
私を守ってくれる仲間が、守りたい仲間が、隣にいてくれるのなら。
私は、自分のことから、命から、真実から、目を背けたりしない。