オーロラの歌
「ていうか」
「今度は何?」
「琉美、筆箱は?」
ようやく笑いが止まった佳那に指摘され、慌てて持ち物を確認する。
腕の中には、佳那の言う通り教科書とノートしかなかった。
「わ、忘れた!」
「あはは。琉美の今日の運勢、人生で一番悪いんじゃない?」
そんなことない、と言い返したかったが、実際に悪運が続いてる以上、否定はできない。
「ごめん、先行ってて」
「もうすぐ授業始まるから、急いで行ってきな~」
佳那の忠告に頷いて、私は走り出した。
静けさと騒がしさが入り乱れる廊下を、進んでいく。
体力のない私は、すぐに息が続かなくなって、途中で足を休めた。
速くしないと。
呼吸を整えて、また足を動かそうとしたその時。
「あ、琉美先輩」
前方から声をかけられた。