オーロラの歌
顔を上げると、唯夏ちゃんがいて、私に駆け寄ってきていた。
「こんにちは」
「こんにちは。どうしたの?」
二年生の教室があるこの階に、一年生が来るのは珍しい。
何か用でもあったのかな。
「佳那先輩に部活のことで連絡があったんですが、いなくて……」
そういえば、佳那も唯夏ちゃんと同じバレー部だったっけ。
唯夏ちゃんは佳那とすれ違っちゃったのか。
「私が佳那に伝えておこうか?」
それなら、私が伝書鳩の役目を果たしてやろう。
唯夏ちゃんの面倒が少なくなるはずだ。
「いいんですか?」
「もちろん」
連絡事項は、バレー部は今日は休み、というものだった。
「それじゃあ、お願いします」
「うん、任せて」
ペコリと軽く頭を下げた唯夏ちゃんは、自分の教室に戻っていった。
唯夏ちゃんみたいな妹がほしかったな。
もしできたら、お兄ちゃんのように溺愛するのに。
私が兄妹に溺愛されるのはごめんだけど。