オーロラの歌



……って、こんなことしてる場合じゃない。


筆箱を取りに行かないとだった。



私は、焦りながらも全速力で走って、教室にたどり着いた。


教室には、椎本くんがまだ残っていた。



「次、移動教室だよ?」



意味深な沈黙の後、椎本くんはまた私を冷たく睨みつけた。



「知ってる」



それだけ答えた椎本くんは、教室を去っていった。



今は、意味わからない椎本くんなんかどうでもいい。


とりあえず筆箱を持って、私も教室を出て、次の授業に間に合わないといけない。



私は自分の席に近づいた。


あれ?


筆箱、どこいった?


机の上にあると思っていたのに、筆箱がどこにもない。


一応机の中も、カバンの中も探してみたけど、やっぱり見当たらない。


誰かが盗んだ?……なわけないか。


筆箱を盗んで、何に使うっていうんだ。


それじゃあ、どうしてないの?



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