オーロラの歌



すると、何かが肩にペシッと当たった。


この教室には今、私しかいないはず。


恐る恐る、顔を後ろに向ける。



「え!?」



驚いて、目を丸くした。


後ろにあったのは、正真正銘、私の筆箱だった。


しかも、私の肩に当たった筆箱を持っているのが、邪悪さが漂う悪霊だったのだ。


ちょっと、待って。


この状況についていけない。


えーっと、つまり、目の前にいる悪霊はもしかしなくても、イービルの魔法だよね?


誰が、この魔法を使ったの?


瞬時に浮かんだ予想は、椎本くんだった。



「犯人よりも、悪霊をなんとかしなくちゃ」



腕まくりをして、臨戦態勢に入る。



「筆箱を返して!」



強気に手を出すと、悪霊は筆箱を返す素振りを全く見せずに、教室を出て行った。



< 564 / 888 >

この作品をシェア

pagetop