オーロラの歌
すると、何かが肩にペシッと当たった。
この教室には今、私しかいないはず。
恐る恐る、顔を後ろに向ける。
「え!?」
驚いて、目を丸くした。
後ろにあったのは、正真正銘、私の筆箱だった。
しかも、私の肩に当たった筆箱を持っているのが、邪悪さが漂う悪霊だったのだ。
ちょっと、待って。
この状況についていけない。
えーっと、つまり、目の前にいる悪霊はもしかしなくても、イービルの魔法だよね?
誰が、この魔法を使ったの?
瞬時に浮かんだ予想は、椎本くんだった。
「犯人よりも、悪霊をなんとかしなくちゃ」
腕まくりをして、臨戦態勢に入る。
「筆箱を返して!」
強気に手を出すと、悪霊は筆箱を返す素振りを全く見せずに、教室を出て行った。