オーロラの歌



汗を拭って、もう一度悪霊に筆箱を返して、と訴えようとしたら。


悪霊は、あっけなく筆箱を投げ捨てた。


遊び飽きたのだろうか。


それとも、私を人気のない裏庭に連れてくるのが、本来の目的だったの?


どっちにしても、わがままで横暴なイービルが従える悪霊なだけある。



苛立ちながらも筆箱を拾おうとした私に、悪霊が猛スピードで突進してきた。


不安定な声を出しながら、間一髪のところで避ける。



「今度はなに!?」



私が動揺している間にも、悪霊は再び私の方に突撃しようとした。


ストップをかけても、止まりそうにない。


もしかして、私にとりつこうとしているの?


悪霊とぶつかる寸前で、脇にそれる。


しかし焦燥していたのか、何もないところで派手に転んでしまった。



「……やばい」



態勢を崩した私を狙って、悪霊は三度目となる襲撃をしてきた。


どうしよう、避けられない。


今更、震えてきた。



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