オーロラの歌
恐怖と戸惑いが、足をすくませる。
悪霊が目と鼻の先まで迫ってきている。
いやしの歌で、悪霊を消すしか方法はない。
口を大きく開けて、空気を吸い込んだ直後。
「――ホーリー・ラジェーション」
聞き覚えのある呪文が、聞こえてきた。
私を襲おうとした悪霊が、近くから飛んできた光線と衝突し、弾け散る。
『改めて、自己紹介するよ』
私は、その魔法を覚えている。
『魔法使いで、得意な魔法は光の魔法』
前世のように、助けてくれた。
殺されかけた私を、同じ魔法で。
じわり、と涙が溢れた。
まだ震えている足で無理やり立ち上がって、声のした出入り口の方へと振り向いた。
大粒の涙が、頬を伝った。
「ラジ……っ」
校舎と裏庭を繋ぐ出入り口の扉に寄りかかっていたのは、よく知っている人物だった。