オーロラの歌
太陽の熱に照らされた、黒く染まる髪。
彼の真っ直ぐな瞳に、私が映り込む。
「し、いもと、くん?」
周りを見ても、やっぱり椎本くんしかいなくて。
私と椎本くんを、風が包んでいく。
「椎本くんが、ラジなの?」
問いかけても、椎本くんは黙ったままだった。
それが、肯定を表しているように思えた。
椎本くんの前世がラジだったから、さっきイービルの名を口にした私を、一時間目の時も教室を出た時も見てたんだ。
教室に残っていたのも、悪霊の気配を感じていたからなのかもしれない。
「お前、オーロラだろ?」
「なんでわかったの?」
「さっき歌おうとしてたから」
椎本くんの観察眼に驚く。
椎本くんはまた口を閉ざして、この場を去ろうとした。
「あ、待って、椎本くん!」
私は即座に、椎本くんを引き止める。
「助けてくれてありがとう」