オーロラの歌



仲間はいないのだと思っていた。


私はひとりで、イービルと闘わなければいけないんだと、不安を抱えていた。


でも、今、目の前にいるのは、絆で結ばれた仲間だ。


私は、ひとりじゃなかった。


私には、仲間がいた。


ラジも転生しているってことは、グリンもなのかな。


イービルは私だけじゃなく、私の味方だった人達も殺したがっているの?



「これからは一緒にたたか……」


「勘違いすんな」



一緒に闘おう、と全て言い終える前に、椎本くんが躊躇なく遮った。


境界線を引くような無機質な声に、心臓が痛む。



「前世ではオーロラに借りがあったようだけど、今の俺には関係ねぇことだ」



どういう意味?


いつの間にか、涙は乾いていた。



「俺は、お前と仲間になんかならねぇ」



仲間に、ならない?


前世には囚われたくないってこと?



「どうして?」



前世の記憶は、椎本くんにもあるはずでしょ?


それなのに、なぜそんなことが言えるの?



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