オーロラの歌
「ねぇ、一緒に闘おうよ」
「お前の意思を俺に押し付けんな」
そう思っているなら、どうして辛そうな表情をしているの?
椎本くんは私に顔を背けて、裏庭から去っていった。
「椎本くん!」
いくら名前を読んでも、椎本くんは応えてくれなかった。
遠ざかっていく椎本くんの背中は、なぜかとても小さく見えた。
椎本くんは気づいているのだろうか。
どれだけ拒絶しようとも、運命の渦は弱まりはしないということを。
椎本くんはいつも冷たいと思っていたけど、本当は優しいんだってわかった。
前世がラジなんだから、優しいのは当たり前か。
私は、椎本くんと仲間になりたい。
守ってもらうのではなく、お互いに支え合う関係になりたい。
前世からの絆は、そう簡単には消えたりしないはずだ。
いつか、椎本くんとも分かり合えるよね。
強く吹いた風が、私の横を通り過ぎる。
椎本くんが使った魔法の、光の欠片が、私の苦しがっている心に輝きを添えていた。