オーロラの歌




翌朝、目覚めは妙にスッキリとしていた。


おそらく、前世の記憶が完全に溶け込み、オーロラの人格を受け入れたからだろう。


混乱することも、困惑することもない。


時折痛む胸の内側には、いつだって、前世の仲間を残して死んでしまったことへの苦しさともどかしさが泣き喚いていた。



家を出て、一歩ずつ歩いていく。


学校までの最短距離を。


旅をしているような感覚になる。


風を感じて、日の光を浴びて、地面を踏んで。


生きた心地が、鼓動を躍らせる。


オーロラも同じようなことを思っていたっけ。



「一度でいいから、行ってみたいな」



懐かしくてたまらない、あっちの世界へ。


オーロラの記憶ではなく、自分の目で見てみたい。


どんな術を使っても、叶わない夢だけれど。




校門を通って、校舎に入る。


自分のクラスの下駄箱の方に行くと、ちょうど椎本くんが靴を履き替えていた。



「ラジ、おはよう」


「……はよ」



椎本くんは、素っ気なくだけど挨拶を返してくれた。



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