オーロラの歌
説明と言われても、説明しようがないし。
どうしたら、佳那を納得させられるだろうか。
周りにいる女の子達がざわつき始め、椎本くんの人気を目の当たりにした。
顔が青ざめていく。
やばい、これはピンチかも。
まさか、たった一言の失言が、ここまで大事になるなんて思いもしなかった。
「ちょっと来い」
「うわっ!?」
言い訳を考えていたら、突然椎本くんに手首を掴まれた。
椎本くんに急かされて内履きを履いた私を、椎本くんはグイグイと引っ張り、生徒玄関でのちょっとした騒ぎを放置して、どこかへと連れて行った。
いきなりのことにびっくりしつつ、椎本くんに誘われるまま身を委ねる。
行き着いた先は、私達の教室の近くにある空き教室だった。
椎本くんは扉を閉めた後、ようやく私の手首から手を放した。
「あのさ……」
椎本くんが、ため息混じりに呟く。
言いたいことを汲み取った私は、苦笑した。
「ご、ごめん。なんか、つい、さ。あはは」
無意識に、口から出ていたんだ。
ラジ、って。
なんでだろうね。