オーロラの歌



前世の記憶が、魂が、そう呼ばせたのかな。


きっと、私達にとって、前世はもう自分の一部になっているんだ。



「お前、バカだろ」


「なっ……!?」



椎本くんは呆れた顔で、私を見下ろす。


そんな言い方しなくてもいいじゃんか。



「椎本くんも、疑うことなく返事してくれたくせに」


「あれは、オーロラが……!」



私に反論しようとした椎本くんが、口を滑らせた。


数秒間固まる椎本くんに、私はニヤリと笑みをこぼす。



「椎本くんも、バカだね」


「……くっそ」



椎本くんは口元を片手で覆い隠して、私から視線を外した。


椎本くんの頬が、真っ赤になっていく。


ふふっ、意外と可愛いところあるんだな。



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