オーロラの歌
小心者にこびりつく闇
【利一side】
なんだろう、ここは。
真っ暗で、何も見えない。
誰かの声も、音も、聞こえない。
自分がどこにいるのかさえ、わからない。
「……怖い」
得体の知れない恐怖心が、僕を震わせる。
叫ぼうとしても、声が出なくて。
逃げ出したくても、光のないこの場所を動き回る度胸はなくて。
僕の浅い呼吸音と鼓動だけが、聴覚を刺激していた。
「誰か、助けて」
自分だけでは何もできない。
誰かに救いを乞うばかり。
そんな自分が情けなくて、涙が出た。
闇の中でうずくまる僕の脳裏に、鮮明に焼きついている、忘れてしまいたい過去。
昔の記憶の残骸が、僕の首を絞めようとしていた。