オーロラの歌
小鳥の翼は傷ついていて、飛べそうになかった。
つらそうに翼を見つめる、小鳥のつぶらな瞳から、光が消えていく。
「私が、治すよ」
私はシエルから小鳥を慎重に受け取った。
小鳥を乗せた手を、窓から空へと伸ばす。
すぅ、と空気を吸い込む。
ねぇ、小鳥さん。
痛々しいその翼を、癒してあげる。
だからもう、そんな悲しそうにしないで。
「♪~~どうか神様お願いです 輝きを纏う幸せを君へ~~♪」
“アンジェラス”という名の母親が、よくこもり唄代わりに歌ってくれた歌。
大好きなお母さん。
この歌を一音一音、大切に紡いでいくたび、お母さんとつながっているような気持ちになる。
きらめきをまとったその歌声は、だんだんと傷だらけの翼を治していく。
小鳥はピヨピヨと嬉しそうに鳴いた。
怪我が完治すると、私は小鳥を空高く羽ばたかせた。