オーロラの歌



落ち込む僕に、唯夏ちゃんはニッと笑う。



『利一が、またいじめられたら、あたしが助けてあげる』


『本当?』


『その代わり、あたしと友達になってよ』



僕は、唯夏ちゃんが出した条件に戸惑った。


差し伸べられた唯夏ちゃんの手を、じっと凝視する。



『嫌?』


『そ、そうじゃなくて……』



僕なんかが、唯夏ちゃんの友達になってもいいのかな?


僕は唯夏ちゃんと違って、いじめられっ子だし。


僕と一緒にいたら、唯夏ちゃんにまで迷惑をかけちゃうかもしれない。



『あたしと友達になりたいの?なりたくないの?どっち?』



唯夏ちゃんが前のめりになって、僕を急かす。


そんなの、決まってる。



『友達に、なりたい』



僕が涙を拭って答えると、唯夏ちゃんは嬉しそうに表情をほころばせた。



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