オーロラの歌



グダグダ悩まなくても、ただ僕の気持ちを言えば、それでよかったんだ。



『これからよろしくね、利一』


『うん、よろしく』



僕は、唯夏ちゃんの手に自分の手を重ねて、握り締めた。


そして僕と唯夏ちゃんは、友達になったんだ。



それから、唯夏ちゃんは僕がいじめっ子に絡まれると、すぐに助けてくれるようになった。


僕を遠ざけていた人達も、僕に話しかけてくれるようになり、楽しい日々が戻ってきた。





『利一はさ、後悔しないの?』



いじめが少なくなっていったある日。


唯夏ちゃんと遊具で遊んでいたら、唯夏ちゃんが突然問いかけてきた。



『後悔?』


『うじうじしてばっかりいてさ、あの時ああすればよかったなあ、って思わないの?』



唯夏ちゃんにとっては、たまたま思いついた、どうでもいい質問だったのかもしれない。


しかし、僕にはその質問が、心にズシンッと重くのしかかった。



< 606 / 888 >

この作品をシェア

pagetop