オーロラの歌



いっぱい、後悔してるよ。


いじめっ子にやられてばっかりじゃなくて、立ち向かえたら。


たまには唯夏ちゃんに頼らずに、僕ひとりの力でなんとかできたら。


唯夏ちゃんのように、明るく前向きになれたら。


そんな星の数ほど存在する後悔と、弱い自分への怒りが、僕の心臓を締め付ける。



『唯夏ちゃんは、後悔したことある?』



うまく答えられなくて、つい聞き返してしまった。


唯夏ちゃんはちょっと考えた後、



『ない』



と、真顔で答えを述べた。



『後悔したくないから、いつも自分がしたいことをしてるの』



唯夏ちゃんは、僕の憧れだった。


自分の信じた道を真っ直ぐ突き進む、誰もが魅了されるヒーローのよう。


僕は、唯夏ちゃんの強くて輝かしい姿を、一歩後ろから見て。


僕も唯夏ちゃんみたいになりたいな、と理想を描いていた。



『利一も、自分がしたいことをすればいいんだよ』



唯夏ちゃんの笑顔は、太陽よりも眩しかった。



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