オーロラの歌



僕を罵倒する声が、あちこちから聞こえてきた。



「ほら、独りじゃ何もできないじゃん」


「女の子に守ってもらわないとダメなの?うわっ、ダサ」


「この弱虫め」



咄嗟に、耳を塞ぐ。


嫌だ、嫌だ、嫌だ!


やめてくれ!!


息が詰まりそうだ。



「利一」



ふと、誰かに呼ばれて、視線を前へ移す。


目の前には、暗黒の中に浮き彫りになって、明瞭に見える、両親がいた。


僕は両親にすがるように、両親に駆け寄る。



「パパ、ママ……!」



いつまで経っても“お父さん”“お母さん”と呼べない僕に、両親は呆れたように微笑む。


よかった、家族に会えた。


これで安心だ。


僕が嬉しそうに両親に触れると、両親は姿を変えて、骸骨になった。



「うわああああっ」



叫んでいる途中で、両親は暗闇に溶けていく。


な、なんで、骸骨に……。



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