オーロラの歌
琉美先輩は、最初から僕と対等に接してくれていた。
高校に入学したての頃、クラスメイトはハーフである僕を物珍しそうに遠目から見ていた。
それが、ひどく居心地悪くて。
唯夏ちゃんとはクラスが分かれ、クラスに知り合いは一人もいなくて、自信を喪失してしまい、友達を作りたくても作れなかった。
交友関係に悩んでいた僕は、誰かを支える立場になりたくて。
もしもなれたら、友達ができるチャンスにもなるんじゃないかと思って、誰も立候補していなかった保健委員会に入った。
委員会が決まって、初の集まりがあった日。
保健委員会が集まる教室がどこにあるかわからなくて、迷子になっていた僕に声をかけてくれたのが、琉美先輩だった。
『君も保健委員なの?実は私もなんだ』
琉美先輩は、僕の外見を見ても、一瞬たりとも態度を変えなかった。
普通は驚いたり、距離を置いたり、戸惑ったりするのに。
それどころか気軽に話しかけてくれて、自然と隣を歩いてくれた。
『君って、もしかしてハーフ?』
『……は、はい』
『あ、やっぱり?だと思ったんだ』
琉美先輩の笑顔に、胸が高鳴った。
『だって、君、すっごく綺麗なんだもん』
初めて、綺麗だなんて言われた。
僕が暗いせいもあったのか、周りからはよく邪険に扱ったり、影でコソコソ言われたりしていたから、慣れないことをされてくすぐったくなった。
その時から、琉美先輩は僕にとって特別な存在になったんだ。