オーロラの歌
知りたい、知らない
歌から溢れ出す、光の道しるべ。
利一くんを助けたい気持ちが、能力の源に変わっていく。
祈りながら歌い続けていた私の耳に、ピキッ、と軋む音が聞こえた。
もしかして……!
悪のエネルギーで作られた殻がある方を見ると、殻にヒビが入っていた。
あとちょっとで、完全に殻を壊せるはずだ。
「♪~~世界の彼方で待ってる 眠っていた愛に囁こう~~♪」
歌を奏でよう。
守りたい人のために。
利一くんを孤独にはさせない。
私がここにいるよ、って伝えたい。
「……琉美先輩」
利一くんの声が、かすかに届いた。
真っ黒な殻が、ボロボロと崩れていく。
悪のエネルギーはチリと化し、いやしの歌の効果によって消え失せる。
「利一くん!」
闇色に塗られた檻から、利一くんが涙を浮かべながら戻ってきた。