オーロラの歌
下校時間になり、利一くんと生徒玄関で別れて、学校を出た。
夕焼けが、悲しげに私を見送る。
「……ゴホッゴホッ」
急に咳が出て、校門を曲がったところで足を止めた。
どうして、咳なんて……。
風邪引いちゃったのかな?
それとも、いやしの歌のせい?
そんなわけ、ないよね。
だって、能力を発動させたのは今日が初めてだもん。
オーロラは五歳の時から幾度となく歌を歌っていたけど、私は違う。
だから、この咳はいやしの歌とは関係ない。
そうだよね?
本当は、わかっていた。
いきなり咳き込んだ、その原因が自分にあることに。
それでも、気づかぬ振りをした。
どうしても、認めたくなかった。