オーロラの歌
せっちゃんは、わかりやすく怒っている私を横目に、面倒くさそうにため息を吐いた。
「案外」
足音に混じって、せっちゃんの呟きが耳の奥を通り抜けた。
勢いよく吹いた風によって、髪がなびく。
ゆらり、と瞳を揺らしながら、視界の真ん中にせっちゃんを捕まえた。
「関係ないって思っていても、そいつも関係あるのかもしれねぇぞ」
「……それって、」
どういう意味で、言っているの?
「まあ、結局はお前の行動次第ってことだ」
適当っぽくて、それでいてどこか意図を含んでいて。
例えて言うのならば、模範解答のよう。
「せっ、ちゃん……?」
「ん?」
深く知りたいのに、言葉が脳裏をさまよって、なかなか声になってはくれない。
ようやく絞り出せた声は、ひどく痩せていた。
「なんだよ」
「う、ううん。呼んでみただけ」
「はあ?」
眉を寄せたせっちゃんが不機嫌になって、私はそれを跳ね除けるように豪快に笑った。