オーロラの歌
なんだろう、この感覚は。
今まで感じたことのない想いに、むせ返りそうになる。
やっぱり、いつものせっちゃんらしくない。
そう思うのは、気のせい?
夜になり、空に星が散りばめられる。
私が宿題を終えた頃、部屋の扉を誰かがノックした。
軽く返事をすると、お兄ちゃんが入ってきた。
「どうしたの?お兄ちゃん」
「紅茶淹れたんだ。飲むだろ?」
「わあ、嬉しい!ありがと」
お兄ちゃんは、中学・高校と剣道部で部長を務めていた、根っからの体育会系だが、実は紅茶やお茶やコーヒーなどを淹れるのが上手なんだ。
「わざわざ、作ってくれたの?」
「最近疲れてるように見えたからさ」
シスコンなお兄ちゃんが言うんだから、本当に私は疲れていたんだろうな。
自分では気づかなかった。
前世の記憶を与えられてからは、毎日慌ただしかった。
披露がたまるのは、仕方ないことなのかも。