オーロラの歌




「あんまり無理するなよ」



お兄ちゃんの骨ばった手が、私の頭をポンポン、と優しく撫でた。


私のことを気にかけてくれる人がいる。


それだけで、クタクタになるくらい疲れていても、明日も頑張れそうな気がしてくるのは、どうしてだろう。



「今日のお兄ちゃん、ウザくなくて好きだな」


「えっ……。喜んでいいのかわからないんだけど」


「あははっ、冗談だよ」


「冗談って、ウザイのが?好きなのが?どっち!?」


「好きなのが」


「えええ!?」


「ってのは、冗談で」


「……琉美、遊んでるだろ」


「あ、バレた?」



私はお兄ちゃんをからかいながら、お兄ちゃんが淹れてくれたハーブティーを飲む。


身体の奥まで染み渡る、美味しさとあったかさ。


お兄ちゃん、心配してくれてありがとう。



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