オーロラの歌




紅茶を飲み干すと、だんだんと睡魔が襲ってきた。


眠たそうな私に、お兄ちゃんは柔らかく微笑む。



「もう寝な、琉美」


「……うん、そうする」


「おやすみ」


「おやすみなさい」



改めて紅茶のお礼を言った後、お兄ちゃんは静かに部屋から去っていった。


私は電気を消して、布団に入る。


静寂の中、眠気に逆らわずに目を閉じる。


数分もしないうちに、意識は遠ざかっていった。







『俺はいつも、お前のそばにいる』


『あの二人以上に、お前を守りたいという気持ちがあったから』


『よかった、無事で……』


『ん、元気そうだな』



知っている声に、耳を澄ます。



『姉さん、どうか生きて』


『もう一度、仲間になってもいい?』


『っ、オーロラ……!僕、オーロラともっともっと旅したいよ!僕をおいていかないで』



ここは、前世の記憶の断片で繋ぎ合わされた、夢の世界。



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