オーロラの歌



寝る前に飲んだハーブティーのいい香りが、漂っていた。


前世の思い出の切れ端が、ひらりひらりと過ぎった。



『だから、俺のそばを離れるなよ、オーロラ』


『僕達のそば、でしょ~?』



オーロラにも、私と同じように、気にかけてくれる人がいた。


大切な仲間が、いつだってオーロラの近くにいた。



『オーロラだけを敵地に行かせるわけにはいかない』


『そうだよねぇ』


『……はぁ、しょうがねぇな』



頑固なオーロラは、仲間を振り回して。



『失敗を悔いても仕方ない。もう一度、立ち向かえばいいだけだ』


『シエルの言う通りだ。悲しんだ分、前に進もう』



仲間に守られてばかりで、助けられてばかりで。


それでも、そばにいたかったし、仲間はそばにいてくれた。



『オーロラ、やめてよ』


『歌わなくていい!だから……!!』



出会った時から最期の時まで、心配をかけてしまって。


不器用で頼りないオーロラを、仲間はずっと支えてくれていた。



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