オーロラの歌



後ろに気配を感じて振り返れば、そこにはオーロラが黙って私を見つめていた。


あぁ、そうか。


オーロラは、わざわざこんな夢を見せてまで、私に気づかせたかったんだね。



私がこっちの世界のことしか知ることができないように、オーロラもあっちの世界しか知らない。


それが、世界の理というもので。


永遠に立ちはだかる、変えようのない事実。



私とオーロラは同一人物であり、別人であり。


平行線上に創られた、違う世界にいる者。


たとえ魂が同じだとしても、私とオーロラの世界の住人を結ぶことはできないし、直接触れ合うことも、一緒に過ごすこともできない。



だけど、私には私の、オーロラにはオーロラの、かけがえのない人がいて。


壁を挟んで、運命が示すままに重なり合うことはできる。



そうだよね、オーロラ。


落ち込んでいたって、しょうがない。


私は、私のいるこの世界で、ひとつずつ知っていくよ。



今度は私がオーロラに、こっちの世界での記憶を贈ってあげる。


だからさ、オーロラ。


この運命の結末がハッピーエンドになるまで、見守っていてね。



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