オーロラの歌
椎本くんが私を好きなはずも、私が椎本くんを好きなはずもない。
そりゃ、椎本くんの優しさを知って、ちょっとかっこいいかもって思ったのは認めるけど。
それは、ギャップ萌えのようなもので。
ヤンキーが捨て猫を拾ったシーンを見た時に起こる現象のようなもので。
つまり、私は断じて、椎本くんに恋をしているわけではないっ!
「……へぇ~」
「な、なに?」
「……いんや、べっつにぃ?」
佳那は、私の(自覚なし)百面相を見て、ニヤリと口角を上げた。
こ、怖い!
佳那、イービルとは別の意味で、怖いよ!
「ま、頑張って、とだけ言っておくよ」
「はい?」
佳那にポンと肩を叩かれた。
意味がわからなくて、呆然とする。
頑張って?
一体、何を?