オーロラの歌
『江藤くん、あたしと付き合ってくれない?』
ある日、校舎裏に呼び出された俺は、三年の美人な先輩に告られた。
告白されたのは初めてだったけど、名前も知らない女と付き合えるほど、俺はチャラくも器用でもなかった。
『すいませんが、付き合えません』
『どうして?』
『あなたのことをよく知らないし……』
『これから知っていけばいいじゃない』
『好きでもない人と付き合う気はないので』
『付き合ってから好きになるかもしれないわよ?』
ことごとく返されて、黙り込んでしまう。
この人、強すぎる……。
『それなら、こういうのはどう?』
どれだけ食い下がっても頷かない俺に、先輩は右手で「三」を表した。
『三日間付き合ってみて、ダメだったら別れる。これならいいでしょ?』
俺は、先輩の諦めの悪さに負けて、仕方なく了承してしまった。
それが、全ての始まりとも知らずに――。