オーロラの歌



親友だけじゃなく、先生にまでバレちゃうなんて。


私、わかりやすいのかな?



「小倉さん、ボーッとすることが多くなった気がするわ」



何も、言えない。


だって、言っても仕方ないのだから。



「何か考え事でもあるの?私でよかったら、聞くわよ?」



これは私の問題で、サエちゃんにはどうすることもできない。


もし話せても、サエちゃんに信じてもらえるかどうかわからない。


信じてくれたとしても、サエちゃんに余計な心配をかけるだけだ。



「サエちゃん、本当になんでもないの。ただ……」


「ただ?」


「現実の辛さを、目の当たりにしてるだけ」



私が挑んでいるこの闘いに、巻き込みたくない。


無関係な人を、傷つけたくない。


私は、守りたいんだ。


綺麗なものばかりではないが、色鮮やかでちっぽけな、私の世界を。



「高校生のくせに、生意気よ」


「痛っ」




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