オーロラの歌
サエちゃんに「さようなら」と告げて、職員室を出ようと扉を開ける。
「用務室から、ロープが失くなった?」
「はい、探しても見つからないそうです」
「ロープを盗む奴なんかいないだろうし……」
先生同士の隠密な会話が、不可抗力で聞こえてきてしまった。
だが、あまり気にすることなく、職員室をあとにした。
早く帰って、クッキー作らなきゃ。
廊下を早足で通っていく。
生徒玄関に向かうため、階段を駆け下りようとした時。
――ガシッ、と何かに右足を掴まれた。
え?なに?
突然動かなくなった足を不審に思って、恐る恐る目を足元に移す。
心臓が圧迫されて、苦しくなる。
「……っ!?」
右足を掴んで動けなくしていたのは、悪のエネルギーを纏った悪霊の手だった。