オーロラの歌



サエちゃんに「さようなら」と告げて、職員室を出ようと扉を開ける。



「用務室から、ロープが失くなった?」


「はい、探しても見つからないそうです」


「ロープを盗む奴なんかいないだろうし……」



先生同士の隠密な会話が、不可抗力で聞こえてきてしまった。


だが、あまり気にすることなく、職員室をあとにした。



早く帰って、クッキー作らなきゃ。


廊下を早足で通っていく。


生徒玄関に向かうため、階段を駆け下りようとした時。



――ガシッ、と何かに右足を掴まれた。



え?なに?


突然動かなくなった足を不審に思って、恐る恐る目を足元に移す。


心臓が圧迫されて、苦しくなる。



「……っ!?」



右足を掴んで動けなくしていたのは、悪のエネルギーを纏った悪霊の手だった。



< 680 / 888 >

この作品をシェア

pagetop