オーロラの歌



半ば投げやりな気持ちで、空気をお腹いっぱい吸い込んだ。


闇を消し、光で溢れますように。


悪霊を浄化できますように。




「♪~~奇跡がぶつか……ごふっ」




歌いだした私の口を、後ろから誰かに押さえつけられた。


だ、誰!?


口を覆う無骨な手のせいで、歌おうとしても、間抜けな声しか出ない。



「歌うな」



耳元に囁かれた、低い声。


この声って……!


視線をわずかにずらせば、予想通り、背後には椎本くんがいた。


どうして、椎本くんがこんなところに、しかもこんな時間にいるの?


もうとっくに帰ったと思っていたのに。



「シルバー・レイ」



椎本くんは、私の口を抑えていない方の手の人差し指を、私の右足を頑なに離そうとしない悪霊に向け、呪文を唱えた。


椎本くんの人差し指から、光の弾丸が放たれた。


光の弾丸の威力により、悪霊を跡形もなく消滅した。



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