オーロラの歌
呪縛を解かれた右足が、自由になる。
椎本くんは私から手を放した。
「あ、ありがとう、椎本くん」
私のお礼を無視した椎本くんは、階段を一段ずつ下りていく。
「椎本くん!」
私は、椎本くんの背中に叫んで呼び止める。
椎本くんは黙ったまま足を止めた。
「私が危ない目に遭っていると、いつも助けてくれるよね」
「……」
「それって、もう、一緒に闘ってるも同然なんじゃないかな?」
静寂が、私と椎本くんの狭間を漂う。
今も、ラジだとわかった時も、私がいやしの歌で寿命を減らす前に、悪霊を消してくれた。
私のことを想って、守ってくれたんじゃないの?
守られっぱなしなのは嫌だけど、守られるのは嬉しい。
私にも、椎本くんを守らせて。
仲間に、なろうよ。