オーロラの歌



繊細な感情が、オーロラの記憶に這う。


胸が、ギュッと締め付けられた。



「……ラジなら、」



吐き出した声が、唇を乾かせる。



「そんなこと言わない」


「は?」


「ラジは、オーロラのことを第一に想ってた!」



何を、言っているの。


魂は同じでも、ラジと椎本くんは別人格。


リンクさせてはいけない。


わかっているのに、声をせき止められない。


ダメ。言っちゃ、ダメ。



「ラジは、すごく優しくて……っ」



椎本くんに八つ当たりして、どうするの。


本当は、こんなこと思ってない。


私は、椎本くんの優しさを知っている。


椎本くんの中に、ラジの面影を探しているわけじゃない。



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